私たちは人生の約3分の1を寝て過ごします。これほど多くの時間を費やす「睡眠」は、単なる「お休み」ではなく、私たちが毎日元気に過ごすために必要不可欠な休養活動です。
なぜ睡眠がそれほど大切なのか、その主な役割をご紹介します。
睡眠の主な役割1)2)
睡眠の役割は、大きく分けて「脳」と「体」のメンテナンスです。
記憶の整理と「お掃除」など脳のメンテナンス
記憶を整理し、定着させる
日中に学んだことや経験したことは、寝ている間に脳の中で整理整頓されます。大切な情報は「記憶」としてしっかり保存され、不要な情報は忘れます。勉強や仕事の効率を上げるには、しっかり寝ることが不可欠です。
脳の「お掃除」を行う
私たちが起きている間、脳は活発に活動し、それによって「ゴミ(老廃物)」が溜まります。
睡眠中、特に深い睡眠の間に、脳はこのゴミを洗い流す「お掃除」を行っているという見方もあるため、このお掃除が不十分だと、将来的に脳の病気のリスクが高まる可能性も指摘されています。
心のバランスを整える
睡眠は、感情を安定させるためにも重要です。寝不足になるとイライラしたり、落ち込みやすくなったりするのは、脳がしっかり休めていないサインです。睡眠はストレスをリセットし、心の調子を整える役割も担っています。
細胞の修復や免疫力の強化など、体のメンテナンス
体の修復と成長を促す
睡眠中には「成長ホルモン」が分泌されます。このホルモンは、子どもの成長だけでなく、大人にとっても大切なものです。日中に傷ついた筋肉や皮膚などの細胞を修復し、体の疲れを取ってくれます。
免疫力を強化し病気から守る
睡眠は、私たちが持つ「免疫力」を強化します。寝ている間に、体はウイルスや細菌と戦うための力を蓄えています。睡眠不足が続くと風邪をひきやすくなるのは、この免疫力が低下してしまうためです。
ホルモンバランスを調整する
睡眠は、体中の様々なホルモンのバランスを保つ役割もあります。例えば、睡眠不足になると、食欲を増進させるホルモンが増え、食欲を抑えるホルモンが減るため、太りやすくなることが分かっています。
睡眠が不足したらどうなるの?1)2)3)
短期的には…
集中力や判断力が低下し、仕事や勉強でミスをしやすくなります。また、イライラしやすくなり、人間関係に影響が出たり、眠気による事故(車の運転など)の危険性が高まります。
長期的には…
慢性的な睡眠不足は、全身の健康に深刻な影響を及ぼします。
身体の健康への影響
免疫力が低下して風邪などの病気にかかりやすくなるほか、ホルモンバランスが崩れることで、肥満、糖尿病、高血圧などの「生活習慣病」のリスクが高まります。
心の健康への影響
脳の休息が不十分になることで、うつ病など、心の病気のリスクも高まります。
睡眠時間を確保することが大切1)
睡眠は、脳と体をしっかりメンテナンスし、明日を元気に過ごすための「未来への投資」です。
これまで明らかになった科学的知見に基づくと、成人の適正な睡眠時間はおおよそ6〜8時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されます。ただし、適正な睡眠時間には個人差があります。
高齢の方では長時間の睡眠が健康リスクになることがわかっていますので、床上時間が8時間以上にならないように必要な睡眠時間を確保しましょう。
平日の睡眠不足(睡眠負債)を、休日に取り戻そうと長い睡眠時間を確保する「寝だめ」の習慣がある人は少なくありませんが、実際には眠りを「ためる」ことはできません。平日に十分な睡眠時間を確保できるよう、睡眠習慣を見直す必要があります。